
オンボーディングとは?言葉の意味から実施プロセスまで徹底解説
近年、新卒採用者や若者の早期退職が社会問題になる中、新入社員が会社に定着できるように力を入れる企業が増えています。
新入社員が企業に定着することを促す施策の一つとして、『オンボーディング方式』があります。
この記事では、オンボーディングを活用するメリット、ポイントなどを紹介していきます。
目次[非表示]
- 1.オンボーディングとは?
- 2.オンボーディングの活用シーン
- 3.オンボーディング実施のメリット
- 3.1.新入社員の早期即戦力化が可能
- 3.2.人材育成施策をDX化できる
- 3.3.ES(従業員満足度)の向上が期待できる
- 3.4.採用・人材育成コストを削減できる
- 4.オンボーディング実施のための5つのポイント
- 4.1.1.導入前の準備の徹底
- 4.2.2.人間関係を良好にする
- 4.2.1.メンター制度を設けるという手段も
- 4.3.3.チームとして求める期待値を揃える
- 4.4.4.教育体制をきちんと整える
- 4.5.5.細かく目標設定をする
- 5.新入社員オンボーディングは入社前実施が効果的
- 6.オンボーディングの実施プロセス
- 6.1.入社前のオンボーディング例
- 6.2.入社直後のオンボーディング例
- 6.3.入社数ヶ月後のオンボーディング例
- 7.オンボーディングに使えるツール
- 7.1.リモート会議ツール
- 7.2.オンラインストレージシステム
- 7.3.eラーニングシステム
- 8.eラーニングによるオンボーディングならetudes
- 8.1.人材育成会社が作ったeラーニングシステム
- 8.2.オリジナル教材作成支援も実施
- 9.まとめ
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、中途採用や新卒採用など、新たに企業で採用した人材が組織にスムーズに馴染み、結果を早期に出せるように働きかける一連の施策のことを指します。
オンボーディングの語源は、船や飛行機に乗るという意味の「on board」です。新規で入社した人が可能な限り早く現場に慣れるようにサポートするという意味で、人事用語としても使われています。
オンボーディングの活用シーン
オンボーディングの取り組みは、新入社員研修や中途入社研修、異動先での研修など、新入社員が入るあらゆる場所で活用されています。オンボーディングを活用することで、新入社員が早期に企業の戦力になる可能性が大きくなるのです。
この他にも、オンボーディングを活用できるシーンはあります。
- オンボーディングで部署間の教育格差を防ぐ
- カスタマーサクセスにおけるオンボーディング
以下にて、詳しく見ていきましょう。
オンボーディングで部署間の教育格差を防ぐ
まず、オンボーディングの取り組みを活用することで、社員の教育格差を小さくすることができます。
具体的なオンボーディングの取り組みの中には、「研修制度の充実」が含まれています。研修制度を充実させることによって、今まで部署によって異なっていた研修が統一され、教育担当者によって左右されていた教育の質が一定となります。これが、部署間の教育格差を防ぐ結果につながるのです。
カスタマーサクセスにおけるオンボーディング
オンボーディングには、新入社員の定着を目的としたもの以外にも、「顧客」の定着を目的としたものもあります。それが、カスタマーサクセスにおけるオンボーディングです。
カスタマーサクセスとは、新規顧客や既存顧客に対して自社の製品やサービスを活用してもらうための一連のプロセスを指します。
顧客にとってサービスの導入段階(オンボーディング)において、魅力的な商品やサービスだと認識してもらわないと継続して購入してもらうことができません。そのため、オンボーディングによるアプローチが重要になります。
オンボーディング実施のメリット
オンボーディングを活用することで得られるメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。
- 新入社員の早期即戦力化が可能
- 人材育成施策をDX化できる
- ES(従業員満足度)の向上が期待できる
一つずつ、詳しく紹介していきます。
新入社員の早期即戦力化が可能
一人の社員が戦力となるまでの育成期間にかかるコストは、企業にとっての“初期投資”と言えます。
初期投資期間、一人の社員が企業に大きな利益をもたらすことはほとんどなく、新入社員からの収益を見込むことはできません。いざ初期投資期間が終わって、一人の社員が企業に利益をもたらす段階となった時、その社員が辞めてしまったとします。それは、企業にとっての大きな損失となります。
しかし現実では、企業の風土や文化に慣れることができず、思い描いていた仕事とのギャップにより、離職する人は多くいるのです。
オンボーディングを行うことにより、一人の社員が思い描く企業のイメージと現実とのギャップを埋め、早期離職を防ぐことができます。また、早く業務内容を覚えてもらうこともできるため、新入社員の早期即戦力化も見込めるのです。
人材育成施策をDX化できる
オンボーディング施策の中の一つに、教育をeラーニングで行うというものがあります。一連の人材教育を全てeラーニングで行うことにより、新入社員や中途採用など新規で入社した人に対して一定の人材育成をすることができます。
これは人材育成のDX化と言えるでしょう。
スキルやマインドの一定化だけでなく、eラーニングを取り入れることにより、社内DXの推進にもつながるのです。社内DXとは、デジタル技術を積極的に取り入れて組織のあり方や働き方を変革・改善することです。ついアナログな方法に固執してしまいがちな人材育成施策は、eラーニングによるオンボーディング実施でDX化が可能です。
ES(従業員満足度)の向上が期待できる
従業員の満足度は、
- 働きがい
- ライフバランス
- 人間関係
- 年収
- 福利厚生
など、さまざまな要素で変動します。オンボーディングの取り組みでは、新入社員に対してメンター制度などによる活発な会話の促進も行われます。一人の新入社員が社内で居心地が悪いと思わないよう、入社後のメンタル的フォローも必要なのです。
そのようなオンボーディングの取り組みを行うと、必然的にESの向上も期待することができるでしょう。
採用・人材育成コストを削減できる
新入社員や中途採用、研修などには多くの金額が投資されています。企業が、人材に投資する理由としては、長く企業で活躍してほしいという願望があります。
しかし、新規で入社した人は、「企業の風土やルールが合わない」や「研修がなくて仕事がしづらい」などの理由があると早期離職してしまいます。オンボーディングを活用すれば、充実した研修制度や企業の風土などに対する理解も深まるため早期離職のリスクを低減することができます。
早期退職を防ぐことができれば、結果的に採用・人材育成コストを削減することにつながるのです。
オンボーディング実施のための5つのポイント
新規で入社する人に対して、オンボーディングの実施が効果的であることがわかりました。ここからは、実際にオンボーディングを実施する際に注意すべき5つのポイントについて紹介します。
- 導入前の準備の徹底
- 人間関係を良好にする
- チームとして求める期待値を揃える
- 教育体制をきちんと整える
- 細かく目標設定をする
では、以下にて詳しく見ていきましょう。
1.導入前の準備の徹底
実際にオンボーディングを導入する前(新入社員にとって入社前)から準備を徹底しましょう。ここで言う準備とは、オンボーディングの資料やeラーニング教材を作ることだけではなく、入社予定の新入社員へのケアも含まれます。
ある調査では、入社前に人事とのコミュニケーションを取っていた人は、そうでない人よりも入社後のパフォーマンスが高いとの結果が出ています。また、入社後にパフォーマンスを発揮している人の約8割は、入社前に人事とのコミュニケーションを取っていたという調査結果もあります。
このような調査結果から、新入社員と入社前に積極的にコミュニケーションを取っておけば、入社後に高いパフォーマンスを発揮する可能性が高いと言えます。
オンボーディングで効果的な結果を出すためには、オンボーディング実施前の入社前の段階から準備を始めておく必要があるのです。
2.人間関係を良好にする
新規で入社する人にとって、入社後に良好な人間関係を構築できるかは最も気になることの一つです。良好な人間関係が構築できなければ、最悪の場合、離職につながってしまいます。
新規で入社する人が人間関係で困らないように、職場全体でフォローしようという雰囲気が大切です。新入社員に対して暖かい気持ちで接し、不安を緩和してあげましょう。
また、オンボーディングの実施に懐疑的であったり疑問を持ってる社員がいると、うまくオンボーディングが進められない場合もあります。新入社員だけではなく、社内全体にオンボーディングの重要性をきちんと理解してもらうようにしましょう。
メンター制度を設けるという手段も
メンター制度を設けるというのも、オンボーディングの一つの手段です。メンター制度とは、直属の上司とは別に、年齢が近い先輩社員が新しく入社する人をサポートする制度です。
新しく入社する人は、仕事のことや会社のことなど、直属の上司に細かいことまでなかなか聞きづらい部分もあるため、メンター制度があれば、心の負担も軽減されることでしょう。
3.チームとして求める期待値を揃える
新しく入社した人が一日でも早く仕事に慣れて、一人前のパフォーマンスを発揮できるようにすることが重要です。チームとして求めている期待値やレベルを伝え、入社した人の認識とチームの認識を一致させる必要があります。
新しく入社した人は、何をどれくらいこなせるようになれば良いのか全く分からないので、求めている期待値を示すことで、そのレベルが目標となり、やるべきことが明確になってきます。
また、逆に新しく入社した人がチームに求めていることも話し合っておくことが重要です。
このように普段からコミュニケーションを密に取り、双方の認識違いをなくしておくことが大切です。
4.教育体制をきちんと整える
新しく入社した人が一日でも早くパフォーマンスを発揮できるようにするためには、社内の教育体制を整えておく必要があります。会社の考えや方向性、勤怠などの各種事務作業、業務内容など、新しく入社した人が学ぶことはたくさんあります。
業務内容の一般的な教育としては、講習会や研修形式のような座学で教育するOff-JTにて知識を習得し、実際に職場で実践を交えながら教育するOJTで理解を深めていく方法があります。この場合、Off-JT担当者とOJT担当者で内容が異ならないようにすり合わせしておく必要があります。教育担当者ごとに内容が異なると、教えられる側が混乱してしまうためです。
これらの教育を体系的に整理し、入社した人への教育計画としてまとめておけば、都度教育内容を検討する必要がなくなり、かつ、教育内容の精度にも大差なく教えることが可能となります。
5.細かく目標設定をする
チームとして求める期待値を、チームメンバーと新しく入社した人で共有し、目標が定まった後は、小さな目標に分けて一つずつ確実に達成していくようにしましょう。
目標を細分化して最終目標の達成を目指す手法を、スモールステップ方式といいます。目標が高過ぎる場合、達成が困難と感じてしまい途中で挫折してしまう可能性が考えられます。
スモールステップ方式であれば、目標を細分化して、一つひとつ短いスパンで達成していくことで最終目標に確実に近づくことが可能です。また最終目標の達成までモチベーションを維持しやすくなるメリットもあります。
新入社員オンボーディングは入社前実施が効果的
入社してから、早い時期にパフォーマンスを発揮して活躍する人のうち約8割が入社前に人事と十分なコミュニケーションを取っていたという調査結果を先ほどご紹介しました。
このことから、高いパフォーマンスを発揮するためには、入社前からオンボーディングを実施していくことが効果的であると考えられます。
しかし、実際に入社前にオンボーディングを実施するといっても、何をすればいいのかわからない方がほとんどでしょう。入社前の時点で業務についての固い話をしたり、難しい課題を課したりすることはあまり効果的ではありません。
まずはオンボーディングの実施プロセスの例を、入社前から順に見ていきましょう。
オンボーディングの実施プロセス
ここからは、オンボーディング実施のプロセスについて紹介していきます。
- 入社前のオンボーディング例
- 入社直後のオンボーディング例
- 入社数ヶ月後のオンボーディング例
これを参考に、自社にとってベストなオンボーディング施策を構築していきましょう。
入社前のオンボーディング例
入社前とは内定の段階です。内定の段階では正式に入社することはまだ決まっていないため、オンボーディングを実施することで入社の決意を固めてもらうことが目的です。
入社前から人事と十分なコミュニケーションを取り、信頼関係を構築し、入社に関しての不安を取り除いておくことが重要です。例えば、
- 懇談会
- 先輩社員との座談会
- 工場見学
- 定期的な面談
- 社内報の送付
などを実施します。
入社直後のオンボーディング例
入社直後は新入社員にとって最も不安が大きい時です。職場にうまく馴染めるのか、良い人間関係を作れるのかなど、さまざまな不安が渦巻いています。その時期に新人を放置することは絶対に避けるべきです。
誰からもサポートされない、フォローされない状況だと、いつまで経っても職場に馴染めず、早期離職に至ってしまう可能性が高いです。また、中途採用者は特に即戦力として期待されている分、放置されてしまうケースが多々あり、こちらも早期離職となる原因になってしまうでしょう。
このような状況を避けるため、入社直後のオンボーディングでは、
- 会社を取り巻く業界についての理解
- 企業文化や自社理念の理解
- 社内規則や独自ルールの理解
- 業務内容の理解
などを実施します。
入社数ヶ月後のオンボーディング例
入社後数ヶ月が経った後も、早期離職の可能性がまだまだ高い状態です。この時期にもオンボーディングを実施してサポートする必要があります。
- 配属先でのコミュニケーションが円滑にできているか
- 配属先に不満が無いか
- 自身の将来像とのギャップが無いか
など、面談やフォローアップ研修、懇談会などで話を聞いたり相談に乗ったりしてフォローすることが大切です。
新入社員・内定者向けのeラーニング教材をお探しの方は『新入社員/内定者向け <スタンダードプラン>』と『新入社員/内定者向け <ライトプラン>』をご覧ください。受講者数約3.3千人(※2022年3月~4月のeラーニング受講者数)のアルーのeラーニング教材を紹介しています。
オンボーディングに使えるツール
ここまでは、具体的なオンボーディングの施策を紹介してきました。ここからは、オンボーディングを実施する上で有益なツールについて、いくつか紹介していきましょう。
- リモート会議ツール
- オンラインストレージシステム
- eラーニングシステム
以下にて、詳しく見ていきます。
リモート会議ツール
ここ最近はどの企業でもリモートワークが浸透しています。入社間もないメンバーも例外ではありません。このような状況の中、コミュニケーションを取る方法として有益なのがリモート会議ツールです。
リモート会議ツールをうまく利用し、チームの雰囲気を知ってもらったり、他チームとの交流を取る機会を作ったりしてコミュニケーションを図ることが大切です。
リモート会議ツールには、Zoom、Microsoft Teamsなどがあります。
オンラインストレージシステム
リモートワーク中に業務の教育をする必要がある場合、例えば成果物をオンラインストレージで共有保管しておけば、教育する側も、教育を受ける側も同じ情報を閲覧することができ、対面で指導する時と同じような方法で実施することができます。
オンラインストレージシステムには、Googleドライブ、Microsoft OneDriveなどがあります。
eラーニングシステム
オンボーディングで教育したい企業文化や自社理念、社内規則や独自ルール、業務内容などを集合研修で実施するのが困難な場合、eラーニングシステムを利用することで受講が容易に実現できます。
また、各受講者の理解度や進捗度も定量的にチェックしやすいため、各対象者ごとにフォローアップすることが可能となります。
LMS選定のポイントを詳しく知りたい方は『LMS選定で考えるべきポイント6選』をダウンロードください。機能や料金体系など、自社にあったLMS選びのポイントを紹介しています。
eラーニングによるオンボーディングならetudes
オンボーディングを活用できるツールとして、eラーニングを紹介しましたがその中でも『etudes(エチュード)』というeラーニングシステムがおすすめです。
etudesは、人材育成の課題や新規入社の社員研修などに活用できるクラウド型のeラーニングシステムです。
etudesの大きな特徴は以下の2つです。
- 人材育成会社が作ったeラーニングシステム
- オリジナル教材作成支援も実施
ここから、詳しく見ていきましょう。
人材育成会社が作ったeラーニングシステム
etudesを運営するアルー株式会社には、人材育成や研修開発実績などの豊富なノウハウがあり、それらを結集して造られたのがeラーニングシステム・etudesです。人材育成業務を知り尽くしているからこそのeラーニングシステムを提供しています。
少人数から、数十万まで、IDの発行数は自由自在。また、社内ノウハウなどの機密情報をしっかり守る強固なセキュリティと、パソコン・スマホでeラーニングが利用できる利便性も大きな魅力です。
オリジナル教材作成支援も実施
etudesでは、豊富な教材コンテンツを提供する他にも、オリジナル教材作成支援も実施しています。
- 自社ならではのeラーニング教材を作成したい
- 今まで使っていた研修教材をeラーニング化したい
- 研修教材をeラーニングで一から内製したい
以上のようなニーズがあるのであれば、etudesを是非ご利用ください。丁寧なヒアリングをもとに、企画・制作・効果測定までトータルサポートいたします。
まとめ
この記事では、オンボーディングを活用することで得られるメリットや活用するためのポイントについて紹介をしました。
オンボーディングは、オフラインで研修や商談などをすることも可能ですが、人的コストが多くかかります。また、教える人により研修の質も異なります。
しかし、eラーニングシステム「etudes」を活用すれば、対面の研修のような工数をかけずに効率よくオンボーディングを行うことができます。
ぜひ、この機会にetudesの導入をご検討ください。
etudesの詳しい製品紹介を知りたい方は『製品紹介資料』をダウンロードください。etudesの特徴やデモ画面、費用についてご紹介しています。