
コンプライアンスとは?社員にわかりやすく教える方法
コンプライアンスは、企業が持続的に事業を成長させていく上で必要不可欠な要素です。企業が社会的な信用を獲得していくためには、社員一人ひとりがコンプライアンスを遵守することが欠かせません。しかし、最近では従業員のモラルの低下や、知識の不足などによって引き起こされるコンプライアンス違反が表面化するケースが増えています。
コンプライアンスとはなんなのか、そしてコンプライアンスを社員に身につけてもらう効果的な方法について詳しく解説いたします。
目次[非表示]
- 1.コンプライアンスとは
- 2.コンプライアンスはなぜ重要なのか
- 3.コンプライアンスリスクとは
- 4.実際にコンプライアンス違反となった事例
- 4.1.情報漏洩
- 4.2.ハラスメント
- 4.3.不法な時間外労働
- 4.4.SNSへの不適切投稿
- 4.5.著作権侵害
- 5.社員はなぜコンプライアンス違反をするのか
- 6.社員にコンプライアンスを教える方法
- 6.1.1.規則・マニュアル作成
- 6.2.2.集合研修
- 6.3.3.eラーニング
- 7.社員にコンプライアンスを教えるなら「etudes」
- 8.まとめ
コンプライアンスとは
「コンプライアンス」とは、法令遵守を意味する言葉です。企業が社会的信用を得ていくために必要な要素であり、近年は企業のコンプライアンスに対する社会の関心もますます高まっています。法令遵守といっても、単に「法令を守ればよい」というわけではありません。時代の変化に伴って、企業に求められるコンプライアンスの種類は多様化しています。
現在のコンプライアンスを構成する要素は、以下の3つです。
- 社会倫理
- 企業規則
- 法令
以下にて、詳しい内容を見ていきましょう。
社会倫理
コンプライアンスにおける社会倫理とは、企業が社会から求められる倫理的な規範のことを指します。法令に直接定められているというわけではありませんが、企業として取引先や顧客から信用を獲得するためにはなくてはならない要素です。近年は、「公序良俗を守る」といった言い方もされ、企業の社会倫理に対する世間の目は特に厳しくなっています。
具体的には、情報漏洩や顧客のプライバシーに関する対策、ハラスメント防止などが社会倫理の一例です。企業は常に最新の社会情勢を注視して、社会倫理を遵守することが求められます。
企業規則
コンプライアンスにおける企業規則とは、それぞれの企業が内部で定める社内ルールやマニュアルのことです。社員が企業内で働くにあたって守らなければならない規則や取り決めのことを指します。
企業規則は一定の条件を満たす企業の場合、必ず定めることが法律で義務付けられています。具体的には、常時10名以上の従業員を雇っている雇用主が、労働基準法に基づいた就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。社会倫理と合わせて、コンプライアンスを構成する重要な要素です。
法令
コンプライアンスを構成する3つの要素の中でも最も基本的で、かつ重要度が高いのが法令です。法令とは、国会が国民に対して定めた法律や、行政機関が制定した政令、省令などの総称です。地方公共団体が法律とは別に条例や規則を定めていることもあり、それらも法令に含まれることがあります。
意図的に法令に違反することはもちろんもってのほかですが、「知らなかった」では済まされないのが法律の世界です。法律は時代に応じて改正されることもあるため、企業は常に関連する法令に注意を払っておく必要があります。
コンプライアンスはなぜ重要なのか
社会倫理や社内規則、法令といったものをコンプライアンスと呼ぶことがわかりました。それでは、どうして企業はコンプライアンスを重視しなければならないのでしょうか。
一見直接的な売上に結びつかないコンプライアンス遵守にコストを割くことは、利益を追求する企業にとってマイナスとなるのではないかと思われるかもしれません。しかし、企業が持続的に事業を展開し成長していくためには、コンプライアンスを遵守することは最低限の条件と言えます。最近では、デジタル化の進展やジェンダー平等に対する意識の高まりなども相まって、企業に対するコンプライアンスがますます注目される時代になっています。コンプライアンスが企業にとって重要な背景を見ていきましょう。
コンプライアンスが必要とされる背景
企業にとってコンプライアンスが必要とされる背景として、企業のコンプライアンス意識が低下したことによる犯罪の増加があげられます。
特に、1990年代のバブル崩壊をきっかけに不況に陥った日本では、企業の不祥事や不正に関する報道が相次ぐようになっていきました。さらに、2000年代半ばを過ぎると、情報漏洩やサイバーセキュリティといった新しい課題に企業は直面します。これらを放置した結果、問題が表面化した企業がマスコミに取り沙汰されることも増えました。不況による企業のコンプライアンス意識の低下と、それによる犯罪の増加が、コンプライアンスが必要とされる背景なのです。
コンプライアンスリスクとは
コンプライアンスリスクとは、法令規範や社会倫理違反など、コンプライアンス違反を起こしうる様々なリスクのことを指します。ひとたびコンプライアンス違反が起こってしまうと、企業の抱える問題が一気に表面化し、企業の社会的信用の低下を引き起こします。
また、企業の犯したコンプライアンス違反がインターネット上で瞬時に拡散されてしまうことも珍しくなくなりました。
企業が持続的に成長していくためにも、コンプライアンス違反の引き金となる以下のようなコンプライアンスリスクを理解しておきましょう。
- 法規範違反
- 社内規範違反
- 倫理規範違反
一つずつ、詳しく解説していきます。
法規範違反
コンプライアンスリスクの中でも最も代表的なものとして、法規範違反があげられます。例えば消費者と直接契約を行う際には、消費者と事業者が持っている情報や交渉力の不平等さを解消するために、消費者契約法を遵守することが求められます。
さらに、公正で自由な競争を促進するために定められた独占禁止法や下請法、消費者を欺くような表示を禁止する景品表示法など、企業が守らなければならない法律は数多くあります。企業は常に法令を遵守し、法改正等にも迅速に対応することが求められます。
社内規範違反
ほとんどの企業は、従業員が仕事を行う上で守るべき規則である社内規範を定める必要があります。しかし、中には社内で定めた規範が形だけのものになっており、社員に十分その内容が行き渡っていないことも少なくありません。社内規範が遵守されていないことで、本来は起こるはずのなかったコンプライアンス違反を招いてしまいます。
特に、情報漏洩については注意が必要です。情報漏洩は企業の社会的信用低下に直結してしまいます。コンプライアンス違反によるトラブルを引き起こさないためにも、社内規範を適切に定め、ルールが徹底される環境を作ることが必要です。
倫理規範違反
倫理規範に対する違反も、コンプライアンス違反のリスクとなりえます。一言で倫理といっても様々な種類がありますが、最近特に注目を浴びているのがハラスメントです。
性的な言動で嫌がらせを行うセクシャルハラスメントや、良識の欠如によるモラルハラスメントなどがハラスメントの代表格ですが、最近ではアルコールハラスメントやパワーハラスメントなども注目されるようになってきました。社員がハラスメントを引き起こさないよう、倫理規範の遵守を徹底する必要があります。
実際にコンプライアンス違反となった事例
コンプライアンスを遵守することは今や企業にとって当然のこととなっていますが、どのような行いがコンプライアンス違反になるのか、いまいちイメージが湧かないという方も少なくないのではないでしょうか。また、コンプライアンス違反が起こったことのない企業では、「法律を守るなど当然のこと」「弊社の業種ではあまり関係ないのではないか」という声が挙がることがあるかもしれません。
しかし、実際には何気ない身近な場面で発生するのがコンプライアンス違反です。コンプライアンス違反の実例をご紹介します。
- 情報漏洩
- ハラスメント
- 不法な時間外労働
- SNSへの不適切投稿
- 著作権侵害
以下にて、詳しい内容を見ていきましょう。
情報漏洩
企業で発生する重大なコンプライアンス違反の例として、情報漏洩があげられます。情報漏洩にもいくつかの種類があり、中でも顧客情報の不正アクセスによる漏洩や、クレジットカード情報の漏洩がよくあるコンプライアンス違反です。実際、大手食品企業や官公庁において、不正アクセスやメールの誤送信により顧客情報が流出した事例があります。
情報漏洩が起こる原因として、システムの脆弱性をついた第三者からの攻撃があります。さらには、ウィルスやスパイウェアの感染による情報漏洩もよくある要因です。情報漏洩の対策を行うためには、不審なメールを開かないことを社員に周知したり、機密情報を外部へ持ち出さないことを徹底させたりすることが求められます。
ハラスメント
ハラスメントは、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに代表される職場における嫌がらせのことです。ハラスメントが起こってしまうと、従業員の心身に不調をきたしてしまうばかりか、最悪の場合は自殺や訴訟にまで至ってしまいます。過去には、大手運送会社の従業員が女性社員に対してセクハラ行為を行い、企業の使用者責任が認められた事例もあります。
ハラスメントが起こってしまうケースでは、当事者がハラスメントだと自覚していないことも多いです。特に立場の差を利用した嫌がらせであるパワーハラスメントの場合、本人はよかれと思って行った指導がパワハラと受け止められてしまうケースも少なくありません。ハラスメントを防ぐためには、従業員のパワハラに対する知識を深めることが有効です。
不法な時間外労働
不適切な時間外労働も、コンプライアンス違反の一例です。サービス残業が当たり前になってしまっていたり、法令で定められた時間以上の残業が発生したりする場合は、コンプライアンス違反となります。さらにこれらが長期化すると、従業員の退職や過労死など重大な事態を招いてしまうため、企業にとって大きなリスクです。
最近では、大手広告代理店へ入社したばかりの社員が過労によって亡くなってしまうという痛ましい事件の報道もありました。大企業を中心に、徐々に残業時間を削減していこうという動きも増えてきていますが、まだまだコンプライアンス違反のメジャーな要因のうちの一つです。
SNSへの不適切投稿
最近増えてきているコンプライアンス違反の事例として、SNSへの不適切投稿があげられます。特に、アルバイトの社員による不適切な投稿がSNS上で炎上する、いわゆる「バイトテロ」の増加が著しいです。
最近の事例としては、大学生のアルバイトが厨房内で食品を素手で触り、食べるなど不適切な行為を行い、その様子をInstagram上で公開したというものがあります。また、運送会社において、フォークリフトやクレーンなどに人を乗せた動画がSNSに投稿された事例もあります。SNS上では、例え限定公開の画像や動画であっても簡単に転載できてしまいます。社員のITリテラシーを高めることが必要です。
著作権侵害
企業による著作権侵害も、コンプライアンス違反の一例です。著作権侵害に対する世間の目はますます厳しくなっています。
実際の事例としては、例えばコンピュータ・プログラムを違法に複製して使用していた企業が、ベンダーによって訴えられたというものがあります。また、少々特殊な事例ではありますが、家具メーカーの開発した椅子が既存のデザインと酷似しているのではないかと訴訟に発展したケースもあります。著作権侵害についても、ハラスメントと同様に「知らなかった」では済まされない重大なコンプライアンス違反です。常に社内の管理体制や、関連する法令に目を光らせておく必要があります。
社員はなぜコンプライアンス違反をするのか
コンプライアンス違反が起こると、当事者には謹慎や停職といった処分が下り、企業の社会的信用は低下してしまいます。従業員にとっても企業にとってもメリットがないコンプライアンス違反ですが、十分対策を講じたつもりでも発生してしまうものです。それでは、なぜコンプライアンス違反は発生してしまうのでしょうか。
- ストレス
- 環境要因
- 知識不足
これらの要因がコンプライアンス違反に直結しているのです。以下にて、詳しい内容を見ていきましょう。
ストレス
コンプライアンス違反が発生するメジャーな原因として、従業員自身のストレスがあげられます。企業側が過剰なノルマを課していると、プレッシャーを感じた従業員が違反と知りながらコンプライアンス違反を行ってしまうのです。
少しでも給与や評価をあげようとするあまり、最初は小さなコンプライアンス違反だったものが段々とエスカレートしてしまい、最終的には大きなトラブルに発展してしまった、というケースも少なくありません。従業員同士の嫌がらせといったコンプライアンス違反の背景には、会社に対する不満があることも多いです。
環境要因
コンプライアンス違反を誘発する要因として、社内の管理体制が整っていないことや、コンプライアンス違反のための仕組みが構築されていない、といった環境要因があげられます。
例えばITシステムを管理する基盤が脆弱だと、情報漏洩や不正アクセスといったコンプライアンス違反が発生してしまいます。コンプライアンス違反が起こりにくい企業をつくるためには、社内に相談窓口や内部告発の窓口を設置する、といった施策が効果的です。組織や環境がコンプライアンス違反の背景となることも多いため、コンプライアンス違反が起こりにくい企業体制を構築することが求められます。
知識不足
経営層や担当部署にコンプライアンスに対する知識が不足しており、それがコンプライアンス違反を招いてしまうことも多いです。コンプライアンスを守るためには、独占禁止法や消費者契約法といった関連法案についての知識はもちろん、企業が社会から求められている倫理観について正確に認識させる必要があります。
また、「どのような言動がハラスメントと捉えられてしまうのか」「指導とハラスメントの境界は何か」といったハラスメントについての知識が不足していることも、コンプライアンス違反の要因となりえます。
社員にコンプライアンスを教える方法
法令や倫理観に対する社員の理解不足は、コンプライアンス違反が起こる大きな要因の一つです。コンプライアンス違反が起こらないような組織体制を構築するためには、社員にコンプライアンスについての知識をしっかりと教育する必要があります。
コンプライアンスを社員に浸透させるための方法はいくつかありますが、中でも規則やマニュアルの作成、研修の実施などはメジャーな手法です。社員にコンプライアンスを教える方法について3つ、紹介します。
1.規則・マニュアル作成
社員に最も手軽にコンプライアンスを身につけてもらう方法として、規則やマニュアルの作成があげられます。例えば顧客情報には限られた担当者しかアクセスできないような規則を設定したり、機密情報を管理するシステムにアクセスする際のマニュアルを作成したりすることで、情報漏洩によるコンプライアンス違反を防ぐことが可能です。
しかし、パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど、規則やマニュアル作成だけでは対処しづらいコンプライアンス違反もあります。他の手法と組み合わせながら実施するのが効果的です。
2.集合研修
社員にコンプライアンスに関する知識を身につけてもらう手法として、集合研修の実施があげられます。集合研修をすることで、法令や規則、ハラスメントなどに関する知識を網羅的に伝えることが可能です。
最近では、集合研修の実施を外部委託するケースも多いです。研修を外部委託することで、自社で研修を実施する費用を抑えることができることに加え、研修の質を高めることもできます。コンプライアンスについての知識を身につけてもらうためには有効な手段です。ただし、業務の関係で欠席せざるをえない社員が出る可能性があるといったデメリットもあります。確実に全社員に身につけるべきコンプライアンス研修では、このような事態は避けなくてはいけません。
3.eラーニング
集合研修のデメリットをカバーしつつ効果的に研修を行える方法が、eラーニングです。
先述したように、コンプライアンス違反の原因は多くの場合、社員のコンプライアンスに関する知識不足です。社会から求められている倫理規範などについての認識が不足していることで、様々なコンプライアンス違反を招いてしまいます。
eラーニングを用いることで、社員はコンプライアンスについての知識を効率的に学習することができます。オンラインで実施するため欠席者が出る心配もなく、個人が集中して自身の行いや考えと向き合い、正しいコンプライアンスを身につけることができます。
また、集合研修と比較すると実施のコストも低く、わからない箇所は巻き戻して繰り返し学習してもらいやすいなどのメリットが多いのもこの手法の特徴です。
社員にコンプライアンスを教えるなら「etudes」
コンプライアンスに関する正しい知識は、社会的に高いコンプライアンス意識が求められる現代において、もはや必須のスキルといえます。効果的にコンプライアンスに関する知識を身につけてもらうためには、「etudes」がおすすめです。
etudesは、オンライン上で学習ができるeラーニングの学習管理システムです。etudesを用いることで、コンプライアンス研修の動画を配信したり、テストを実施したりして、効果的に学習を行わせることができます。
アルー株式会社のコンプライアンス教材
etudesは、オンライン上での動画・教材配信が可能なサービスです。もちろん企業が独自に用意したオリジナルの教材を学習に用いることも可能ですが、コンプライアンスに関する研修を過去に実施していない、あるいはコンプライアンスに関してさらに質の高い研修を実施したいという場合には、etudesを運営するアルー株式会社がご用意する講座の利用がおすすめです。コンプライアンスについての研修は、具体的に以下の2つをご用意しています。
コンプライアンスとハラスメント講座
個人情報保護法講座
ハラスメントと情報漏洩は、どちらも企業にとって大きなリスクとなるコンプライアンス違反です。コンプライアンスについての研修を実施したい場合は、ぜひetudesをご検討ください。
まとめ
コンプライアンスについて、コンプライアンスの必要性やコンプライアンス違反の実例、さらにはコンプライアンスを社員に教える方法などについて解説しました。最近では企業に対する世間の目はますます厳しくなっており、小さなコンプライアンス違反であってもマスコミで大々的に報道されることが珍しくありません。
また、「バイトテロ」に代表されるような、これまでにないタイプのコンプライアンス違反も増えてきました。eラーニングを用いて適切なコンプライアンス教育を実施し、企業の社会的信用を低下させるコンプライアンス違反を未然に防ぎましょう。