
企業内大学とは?社内研修との違い・事例一覧を紹介
効果的な社内教育の一環として、企業内大学の導入という方法があります。
企業内大学は、向上意欲のある従業員をさらに優秀な人材へと育てることができる、画期的なシステムとなっています。それだけではなく、採用活動時には企業のアピールポイントとして発信できたり、優秀なリーダーを育成できたりと、多方面に対して非常に有効な教育手段でもあります。
この記事では、企業内大学について詳しく解説しています。おすすめの企業内大学の導入方法としてeラーニングに関してもご紹介いたします。
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目次[非表示]
- 1.企業内大学とは
- 1.1.企業内大学の歴史
- 2.企業内大学と「社内研修」との違いは?
- 3.企業内大学の事例
- 3.1.ソニー
- 3.2.ソフトバンク
- 3.3.コカ・コーラボトラーズジャパン
- 4.企業内大学を設立するメリット
- 4.1.中長期的な社員教育が可能に
- 4.2.新たなリーダーの育成ができる
- 4.3.求職者に向けたアピールができる
- 5.企業内大学を設立するデメリット・課題点
- 5.1.運営のコストがかかる
- 5.2.講師の選定・任命が難しい
- 5.3.学習を続けられる環境の構築が難しい
- 6.企業内大学の課題はeラーニングで解決!
- 6.1.多様な学習方法に対応できる
- 6.2.講師のスケジュールを圧迫しない
- 6.3.受講履歴・学習進捗の管理も可能
- 7.eラーニングなら「etudes」
- 8.まとめ
企業内大学とは
企業内大学は、従業員が必要とする知識や技術の習得を支援する場を企業が提供する、社内教育の一形態です。コーポレートユニバーシティ(Corporate University、CU)といわれることもあり、一般的には、実際の大学のように必修科目と選択科目に分かれているところが特徴の一つとなっています。
企業内大学は、必須の知識や技術を身に付けるというよりは従業員のキャリアアップにフォーカスして、専門性を深めることが目的です。
そのため、従業員ごとの目標にあわせてカリキュラムを組み、企業や業界の次世代のリーダーを目指して学習を進めさせることになります。
企業内大学の歴史
企業内大学は、1950年代にマクドナルド社などの米国の主要企業が開設し、成功したことから注目度が高まったとされています。
これに加えて、グローバル化や少子化により優秀な人材を獲得する競争が激化したことも理由の一つです。競争の激化は現代も続いており、以前のように大量に採用した人材の中から優秀な人材を育てるという手法は、もはや困難となりました。そこで、企業内大学を設置することで、企業外から優秀な人材を確保するのではなく企業内で有能な人材を育成する方法が注目されているのです。
企業内大学に限らず、近年の潮流として多くの企業は社内教育を充実させることに舵を切っているともいえるでしょう。
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企業内大学と「社内研修」との違いは?
社内研修とは「従業員が業務を遂行するために必要な知識や技術を習得する、企業が提供する育成プログラム」のことを指します。スキルの修得だけではなく、社風やビジネス目標の周知を同時に行うという側面もあります。
一方で企業内大学は、「従業員に業界や企業に関する学習の場を提供する」という意味では、社内研修とそれほど性質が変わらないように思われるかもしれません。しかし、企業内大学と社内研修の間には、次の3つの相違点があります。
- 学習内容
- 講師
- 目的
それぞれの相違点について、詳しく見ていきましょう。
1.学習内容
社内研修は、企業が従業員に求める最低限の知識やスキルを身に付けさせるために行われることが一般的です。
そのため、講座によっては従業員にとって重要性が高くないと感じるものでも、必ず学習する必要があります。コンプライアンス研修やハラスメント研修など、企業が自社の問題として設定しているテーマを解決するために行われる研修も少なくありません。
一方、企業内大学では、人事担当が従業員のニーズを把握して講座を設定します。また、その内容は最低限必要なスキルの習得に焦点を当てたものではなく、専門性を深めるためのものです。必修科目はあるものの、選択科目によって従業員個々人の学びたい意欲に沿った学習を行うことができます。
2.講師
一般的な社内研修であれば、外部から招いた専門の講師により、一般的な内容を学ぶことがほとんどです。もしくは、上司が部下に実務を通して知識や技術を教えるというケースもあるでしょう。
しかし企業内大学では、外部から講師を招くだけではなく優秀な成績を修めている社員が講師として起用される場合もあります。この場合、従業員は実際の現場で使われる知識やスキルをそのまま吸収できるので、企業全体でスキルの底上げが可能です。
また、業務遂行に直結する実践的な内容を学ぶことができるため、従業員の学習に対するモチベーションを向上させることもできます。
3.目的
多くの社内研修の目的は、電話応対や名刺の授受といったビジネスマナーなど、業務で広く必要とされるスキルの習得となっています。
特にOJT(On-the-Job Training、オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式で行われることが多く、従業員は必須の知識や技術を現場で学ぶことが可能です。
一方で、企業内大学の目的は、従業員のキャリアアップや次世代リーダーの輩出が念頭に置かれています。そのため、関係している業務や業界に対する専門性を深めることを目標とし、基本的なスキルは習得していることが前提であるため、社内研修とは目的が異なります。
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企業内大学の事例
優秀な人材育成のために重要となる企業内大学ですが、実際に導入している企業はどのようなコンセプトで設立し、運用しているのでしょうか。ここからは、実際に企業内大学を導入している日本国内の企業を見ていきましょう。ご紹介するのは、以下の3社です。
- ものづくり総合大学(ソニー)
- ソフトバンクユニバーシティ(ソフトバンク)
- コカ・コーラユニバーシティ ジャパン(コカ・コーラボトラーズジャパン)
それぞれの企業内大学について、詳しく見ていきましょう。
ソニー
ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(SGMO)は、社員一人一人の主体的な学習により、スキルやノウハウを向上させることを支援する場として、「ものづくり総合大学」を企業内大学として設置しています。
主となるコンセプトは、「人間力強化」と「専門性強化」の2つです。「人間力強化」に基づいたプログラムは、グローバル人材の養成や経営力を養う講座を行っています。「専門性強化」に沿ったプログラムでは、座学と実践を組み合わせたカリキュラムにより、社員の能力向上を効果的に支援しています。
ソフトバンク
ソフトバンク株式会社は、経営理念を実現し得る個性豊かな人材の育成を目標として、2010年に「ソフトバンクユニバーシティ」を設立しました。
全体の約8割の講師はソフトバンクの社員で、業務で培った活きたノウハウをそのまま学べるところが特徴です。
ビジネスプログラムでは、業務全般で必要になるマネジメント能力やキャリアマインド等を学ぶことができます。もう一つのプログラムである、階層別プログラムでは、各階層に細かく対応したコースにより、企業及び個人の成長に欠かせないスキルを習得することが可能です。いずれも、アウトプット中心の学びとなっているため、効果的に学習を進めることができる点で優れています。
コカ・コーラボトラーズジャパン
コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社は、次世代リーダー育成プログラムとして「コカ・コーラユニバーシティジャパン(CCUJ)」を、2020年に設立しています。
その第一弾として、2020年7月には若手を対象としたプログラムが行われました。CCUJにおける階層は3つに分かれており、それぞれに対応した教育が行われています。
教育の目的は「5リーダーシップケイパビリティーズ」といわれるコカ・コーラ社が推進する独自の5つのリーダーシップ行動を示したものです。デジタルラーニングと対面型を組み合わせたカリキュラムが採用されているところも特徴の一つとなっています。
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企業内大学を設立するメリット
企業内大学を設立することで、単なる人材育成だけでは得られない利点が獲得できます。また、メリットを享受できるのは、企業側だけではなく、従業員側も同様です。
では、具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。ここでは、大きなメリットである以下の3つをご紹介します。
- 中長期的な社員教育が可能になる
- 新たなリーダーの育成ができる
- 求職者に向けたアピールができる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
中長期的な社員教育が可能に
企業内大学は、新入社員研修などとは異なり全従業員が対象となることから、従業員全体のスキルを底上げすることが可能です。カリキュラムやプログラム内容によっては中長期的に人材育成を行うことができ、従業員の自発的な学びを支援するプラットフォームにもなります。常に学習の場を提供することで学習へのモチベーションを高く保ち、効果的に学びを進めさせることができるのです。
社員教育を長く安定的に行いたいという要望に応えられる人材育成施策といえるでしょう。
新たなリーダーの育成ができる
企業内大学は、講義の内容を従業員と企業側のニーズにマッチさせた形で設定できます。
そのため、経営層の育成や次世代リーダーの養成、業務や役職ポストに必要な人材を育てることを意図するカリキュラムが組みやすいところもメリットの一つです。
特に、企業内大学では優秀な従業員が講師を務めることもあるため、明確なロールモデルとしてリーダー候補が目標にしやすくなります。結果的に、より有能な人材をリーダーとして輩出しやすくなるでしょう。
求職者に向けたアピールができる
近年は人材不足によって、企業が人材を選ぶのではなく求職者が企業を選ぶという形態が一般化してきています。
人生100年時代と言われる背景もあり、求職者は「企業は自分が成長する場」として捉えている傾向があります。企業内大学を設置しているというステータスは、向学心を持つ人材にとって、非常に魅力的な企業の一つになる要素です。
雇用市場における差別化を図り、採用活動時のアピールポイントとして発信できるところもメリットの一つでしょう。
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企業内大学を設立するデメリット・課題点
企業側には優秀な人材をもたらすというメリットがあり、従業員側には学習の場が提供されるというメリットがある企業内大学ですが、克服すべき課題点もいくつかあります。スムーズで効果的な運営を目指すためにも、デメリットや課題点を知っておきましょう。
ここでは、以下の3つのデメリット・課題点をご紹介します。
- 運営のコストがかかる
- 講師の選定・任命が難しい
- 学習を続けられる環境の構築が難しい
それぞれ詳しく見ていきましょう。
運営のコストがかかる
企業内大学の導入・運営には、金銭的なコストはもちろん、時間や人員など、さまざまなコストがかかります。
中途半端に導入してしまうと、費用対効果が下がり、学習効果があまり得られないままシステムが形骸化してしまうでしょう。しかし、充実させようと思えば思うほど、コストは多くかかってしまう傾向にあります。
企業内大学は、特に初期費用がかさみやすいため、どこまで将来に投資するか、どれくらいの経営資源を費やすか、どの程度の人材育成プログラムを構築するかを事前に緻密に計画しておくことが重要です。多くの場合、オンライン学習プラットフォームの導入といったシステム構築をしっかりと行えば、スムーズに運営できる可能性が高いでしょう。
講師の選定・任命が難しい
優秀な従業員を講師に選定しようと思っても、教育分野にある程度精通していないと、思った通りの学習効果を得ることができない場合があります。そもそも、講師としての経験が無い人材がほとんどです。仮に任命したとしても、優秀な社員が教育分野でも優秀であるとは限りません。
さらに、さまざまな要件をクリアして講師として活動することになったとしても、スケジュール調整がうまくいかず、毎回教壇に立てないというケースもあるでしょう。講師としての教育の実施や、オンデマンドで講座を配信するといった方法で解決しなくてはならない課題です。
学習を続けられる環境の構築が難しい
企業内大学は、能動的な学びを主軸とする性質を持つことから、学習への強制力はほとんどない場合が一般的です。
学習の継続率が受講者の学習へのモチベーションに依存してしまうことは、デメリットの一つといえます。
また、企業内大学ではカリキュラムや講義が従業員のニーズをくみ取った上で設定されるため、社内の仕組み作りは簡単ではありません。さらに、企業内大学を設置することで、受講履歴や習熟度の管理等を別個に行う必要があるため、運営における業務が増大し煩雑化してしまう可能性もあるでしょう。
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企業内大学の課題はeラーニングで解決!
LMS(学習管理システム)を活用し講座をeラーニング配信することで、オンライン企業内大学を設立することができます。
eラーニングなら、
- リアルタイムで講義を配信するリアルタイム型講義
- 配信されているコンテンツを利用して個人で学習を進めるオンデマンド型講義
この2つを組み合わせた「ブレンディッドラーニング」も可能です。
オンライン企業内大学の形態はさまざまですが、LMSを導入して教育コンテンツを作成または購入することにより、スムーズな導入・運営が可能になります。
eラーニングを用いてオンライン企業内大学を設置することによるメリットを、以下からさらに詳しくご紹介します。
多様な学習方法に対応できる
LMSを用いたオンライン企業内大学は、オンラインという性質上、教室(会場)費や紙の教材費などのコストがかからないため、対面式と比べて格段にコストを抑えることができます。
また、その都度講師が登壇するわけではなく、一度動画教材を作成すれば、以降は繰り返し配信して使うことが可能です。講師代やスケジュール調整も不要になるため、業務とあわせてより効果的に教育を施すことができるでしょう。
配信されている教材を繰り返し見て理解度を深めたり、業務の隙間時間に少しずつ学習を進めたりといった多様な学習方法に対応できるため、忙しいビジネスパーソンでも学習しやすい環境を提供できます。
講師のスケジュールを圧迫しない
対面式の講義を行う企業内大学では、講師と受講者のスケジュールをあわせて講義が開催されることになります。しかし、オンライン企業内大学であれば、講師のスケジュールの都合の良い時に講義を録画しておき、それを後から配信するという形式をとることが可能です。
そのため、講師のスケジュールを圧迫せず、何度も登壇する必要もなくなるため講師となる社員自身の負担を減らすこともできます。
負担が少なくなることで、講師を任命しやすく、また任命された社員も講師としての責務を果たしやすくなるでしょう。もちろん、一度配信した動画教材の更新や内容変更もオンラインで簡単に行えます。
受講履歴・学習進捗の管理も可能
対面式の企業内大学では、講座の管理や受講者の受講履歴・学習進捗の管理は別個のシステム構築が必要になる場合がほとんどでした。しかし、LMSなら配信されているコンテンツや講座をシステム上で一括管理することが可能です。また、受講者ごとにアカウントで管理することで一人ひとりの受講履歴や学習進捗、習熟度も確認しデータとして蓄積できます。つまり、企業内大学の運営におけるデメリットを最大限に解消できるのです。
受講者側からも自身の習熟度や学習の進捗をチェックしやすいので、学習へのモチベーションの維持向上にもつながるでしょう。さらに、eラーニング関連だけではなく集合研修のライブ配信やオンライン講義の案内配信も、LMSを使用することによって一括で管理ができるところも特徴です。
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eラーニングなら「etudes」
オンライン企業内大学の設立を検討しているけれど、煩雑そうでなかなか導入まで踏み切れない……とお悩みの方は、LMS「etudes(エチュード)」の利用をご検討ください。
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まとめ
企業内大学は、キャリアアップを目指す従業員が自主的に学習を進めることを支援する場として、企業が提供するものです。
長期的な社員教育を行って優秀な人材を確保することができたり、採用活動時のアピールポイントとして発信できたりすることから、現在多くの企業が注目しています。
企業内大学は、導入や運営におけるコストがかかる、体系を確立することが難しいといったデメリットもありますが、LMSを使ってオンライン化することで解決できます。
企業内大学の導入の際には、ぜひアルー株式会社のLMS「etudes」の活用をご検討ください。
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